ご挨拶

会長高田俊二 写真
一般社団法人 日本写真学会
会長 小林裕幸
千葉大学

一般社団法人 日本写真学会への入会をお待ちしております


2012年5月の総会におきまして,会長に就任致しました.本学会は大正15年2月26日創立となっています.第2代会長を務められた東京高等工藝学校教授・鎌田弥寿治先生が学会創立時の模様を大正15年3月発行の「写真新報」の記事を引用しながら次のように伝えています.


「・・我邦写真界には・・種々の写真会が組織されているが,是等の写真会は総て芸術写真や娯楽写真や営業写真の会であって,実用上の写真を撮ったり,写真術の原理を科学的に研究して写真科学の発達に資せしめるような目的を持つ写真会は殆ど皆無の状態である.・・・斯くの如き状態であっては,写真術なるものはその意義頗る貧弱に堕する處があるのを遺憾とし,・・芸術的写真を目的とせず写真術を科学する写真会を創らむという計画を建て,去る二月二六日,東京神田淡路町の多賀羅亭に同志を糾合して相談会を開いた.」


この勢いで会は「写真学会」を組織することを決議し,陸地測量部長・陸軍少将・大村斎氏が会長に推挙されました.


それから86年の歳月が流れ,その長い歴史の中で本学会は創立時の志を頑なに守り,時代が要求する写真科学の世界において常に中心的な役割を果たしてきたことは誰もが知るところです.電気化学を専門としたこともある私といたしましても,第3代会長を『電気化学の理論及び応用』を著した亀山直人先生が務められたことは非常に誇らしく思っています.


そんな私ですが,会長に就任し次のようなことを考えています.私は現在,画像解析・画像評価を専門とし,いい写真とはどのようなものか,どのようにしたらそれを作れるのかを研究しています.そのような中で,写真芸術に代表される学会創立時に排除したものが写真科学の研究に不可欠なものだということ,そして写真芸術と科学がオーバーラップする領域も存在するのだということを痛切に感じています.本学会が頑なに守ってきた科学の領域を時代に合ったかたちで発展させるとともに,これまで排除してきた領域とも協働して写真文化を拡大し,新たな写真科学の領域を構築していければと思っています.


そして最後に忘れてはいけないのは,本学会には写真の大好きな人間がたくさん集まっているという強みです.写真及び画像に関する学理並びにその応用の研究開発に携わる技術者,写真や画像に係る技術や技能を芸術の領域まで至らせる芸術家の垣根もなく,また専門家,アマチュアを問わず,写真の好きな連中が集まって,お互いに切磋琢磨できる場であることが理想の写真学会の形だと思っています.