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ギャラリー詳細

「画像からくり」 第4回  パノラマ立体ビューア “PAN-PET” (パンペット) 桑山哲郎 氏

 

Fig.3光学系の配置図  側面図  正面図

 PAN-PETのタイトルとしては,1970年の大阪万国博会場で(株)学習研究社から販売された商品の知名度が圧倒的に高い.5 本のリールがビューアとセットで,合計100組のステレオ画像が観賞できる商品が愛好家の間で今でも取り引きされている.私のコレクションについては,報告を全く見かけないので,かなりの「お宝」ではないかと密かに期待している.
 フィルム上で画像の位置が前後に 12 mm 違っているのに,どうしてつじつまの合った立体像が観賞できるのか,入手して以来長い間,その「からくり」を理解することができなかった.学習研究社から出願されている「実用新案出願公告 昭48-35818号」(1968年10月3日出願,1973年10月27日公告)の明細書を最近見つけ,ようやくその「からくり」が分かった.元の図の配置を書き変えて,理解が容易な様描いた図を,Fig. 3に掲載する.
 Fig.3(a) の側面図で,上から入射する光は乳白色のカバー(図では省略)を透過して透明フィルムを背後から拡散照明する.フィルムを透過した光束は45°の角度に配置されたミラーで折り曲げられ,接眼レンズに導かれる.単純に考えると,光路の長さが 12 mm違うので,ステレオビューアとしてうまく機能する光学系を設計するのは難しそうである.ところがこの光学系ではまず,右目用のフィルムゲートの高さを左目用に比較して 7 mm低く作り,同時に右目用の接眼レンズの位置を 5 mm奥に取り付けることで,実用的な光学系を実現している.右目用と左目用でフィルムと接眼レンズの間隔を同じにして,また接眼レンズの焦点距離を同じにすることで,左右の目に表示される像の拡大率と表示距離を揃えているものと思われる.紙の上の単純計算では,右目に表示される像が 5 mm遠方に生じることになる.これは無視できる範囲の誤差としているのか,設計値を微修正して厳密に合うよう設計しているのかは,外見からは分からない.カバーの外形が左右対称なためなかなか気がつかないが,とにかく大変巧みな「からくり」である.
著者:桑山哲郎

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