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ギャラリー詳細

「画像からくり」第14回 円筒レンズを用いた拡大遠方像の表示-いろいろな焼酎の瓶 桑山哲郎 氏

 

Fig.2空の瓶と水の入った瓶の比較

 Fig.2は,空き瓶と水が入った瓶の見え方を比較した様子である.丸い窓の中に見えるのは葛飾北斎作の有名な浮世絵『神奈川沖浪裏』である.
 右側の瓶は,中に入っている水(屈折率は約1.333)のレンズ効果で,特に左右方向に拡大して見える.丸い窓から見るという制約から,元の構図より富士山を大きく描き,波や船の形も細かく変えてあるが,瓶の背面よりもはるかに奥に風景が広がって見える効果は見事である.レンズによる拡大が加えられていない左の像と比較すると,およそ2倍左右に拡大して見える.円筒の形をしたレンズによる拡大像の解析は多少複雑でる.この瓶の直径は80mm であるが,全体が均一な屈折率(1.333)として近似計算をしてみる.すると,上下方向の結像については,像の寸法はそのままで瓶の表面から約60mmの位置に浮かび上がって見えるという計算結果になる.一方,水平断面については,瓶の手前の凸面の焦点距離が120mm,物体の位置が空気中換算で60mm,横倍率は2.0倍で,瓶の表面から120mmの位置に生じるという計算になる.画面の中央で上下方向と左右方向の結像距離が大きく異なる非点収差を持った光学系となっている.
 写真は向かって左の図にピントを合わせて撮影しているので,右の図に対しては上下方向の結像では後ピン,左右方向の結像では前ピンになっていることから,ピンボケの状態で写っている.また,非点収差が大きいことから,目を置く位置により,観察される像の縦横比が変化する.目を瓶に密着すると像の上下左右の寸法比は,水を入れていない状態と同じになる.
著者:桑山哲郎 氏

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