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ギャラリー詳細

「画像からくり」第17回 ホログラムメガネ,回折格子メガネ 桑山哲郎 氏

 

Fig.3計算機ホログラム(振幅型格子)のメガネ

Fig.3は,計算機ホログラムのメガネで,点光源の周囲に文字や図形が現れる. 一見,灰色のサングラスのように見えるが,近くで見ると1.25 mm角の正方形の周期的な模様が見える.この模様は,黒い正方形が透明な地に飛び飛びに配列されてできていることが,高倍率のルーペで見ると分かる.写真のメガネでは,点光源の周囲6 方向に雪の結晶が見える.商品化されている図柄の種類は大変多く,“HAPPY BIRTHDAY”など各種文字のメッセージも揃っている.またわずかな数からでも特注にも応じるという宣伝をしている会社もある.これは,解像力の高い銀塩フィルムにプリントして十分製作が可能で,また容易なフーリエ変換で計算できるためと思われる.振幅(吸収)型の回折格子なので,±1次回折光は同じ強度で生じ,また回折効率はあまり高くできない.
このメガネにはUS Patent 1)の番号が印刷されているので,技術内容を勉強するのには好適である.明細書にはホログラム研究初期の論文も引用されているが,思い起こして,1972年の応用物理の「研究ノート」 2)(大学時代に勉強した)を改めて読み返すことにした.計算機ホログラムは Lohmann ほかが1966 年発表したのが最初 3)で,長方形の黒い領域を透明なベース上に配置して人工的な(レーザー露光によらない)ホログラムを作り出していた.一方,位相だけを変調する計算機ホログラムは「キノフォーム」(Kinoform)と命名され,1969 年に発表された 4).キノフォームでは光の強度に対する透過率は100%で,透過光の位相だけが変調される.たとえば,透明な板の表面を微小な正方形の領域に分割し,それぞれの正方形を適切な高さにすれば,表面凹凸の転写で工業的に量産することが可能となる.現代の半導体製造用位相マスクの技術が,そのまま使用できる.
著者:桑山哲郎 氏

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